Wonder★kidsのこだわり その③

“論理的思考力を伸ばそう”

もともと3部構成でお届けする予定だった、「ワンダーキッズのこだわり」。昨年、1,2と書いてから、3の投稿がずっかり遅れていました・・・すみません。今回のタイトルは、「論理的思考」と、なんだか重苦しいのですが、かみ砕いてわかりやすいように書いてあります。ですから、どうかタイトルを見ただけで逃げ出さずに、気楽に読んでいただければと思います。

テーマに掲げるのは、「論理的思考を展開する力」。これは、日本語教育とは直接関係がありません。でも、それをあえてワンダーキッズのこだわりとしてこれを掲げるのには訳があります。それは、ワンダーキッズに来ている子供達の多くがオランダに住み、今後、オランダの教育システムにおいて教育を受けていくことになるだろうからです。そして、オランダの高等教育でもっとも評価されるもの、それは論理的思考力の高さ、です。

ここからは、少し私自身の体験も交えてお話しさせていただきます。オランダの大学に通っている私が思うには、大学で要求される大事な能力が3つあります。一つは、「自己表現力」。オランダの大学では、ただ座って授業を聞く講義スタイルは非常に少なく、常に他の生徒数名とグループを組んで一緒にプロジェクトを完成させたり、また、お互いのレポートや論文を読んで評価しあう、なんていうことが頻繁に行われます。普通の講義スタイルの授業であっても、自分がわからないことがあれば、生徒たちはどんどん手を挙げて積極的に質問しますし、そこからディスカッションが生じたり、いきなり2グループに分かれてディベートになっちゃったり、とまあ、本当にインタラクティブな授業ばかり。こんな環境の中では、「あなたはどう思うの?」と意見を聞かれ、貝のようにじっと黙りこくってしまうわけにはいかないのです。他の生徒たちと組んで論文を書くような場合にも、自分が思っていることをきちんと表現し、そのプロジェクトに貢献していかなければなりません。他の生徒の課題を読んでやり、アドバイスをしてあげることが課題で出されたりもします。何より、ディスカッションの場で何も意見を言えなかったら、なんともやりきれない気持ちになることでしょう。そうならないためにも、自分の意見をしっかり持ち、それを明瞭に、そして気持ちよく相手に伝えることができるようになりたいものです。
もう一つは、忍耐力。オランダの大学では、とにかく膨大な量の文献の学習と課題提出が課されますので、これらにじっくり向き合って、投げ出さない強靭な精神力がなければ、卒業までとうてい持ちません。
とまあ、ここまでのふたつは必要最低条件であって、大学生として、というよりも、社会人としてある程度は出来なければまずい、と言えます。日本の大学でもこれはまったく同じでしょう。
しかし、3つ目にあげる「論理する力」。私はこれこそがオランダ教育と日本での教育の大きな違いだと思っています。


どういうことか、テスト方式をわかりやすい例にとって説明しましょう。

たとえば、日本のテストでは「1560年に桶狭間の戦いで勝った戦国武将は誰か?」というかたちで設問がなされます。答えは当然「織田信長」で、正解。皆さんよく覚えていることと思います。しかし、オランダのテスト方式はまったくこの逆。「織田信長という人物について、知っていることを記述せよ」というような設問の仕方がなされます。こちらの形式だと、自分が知っている織田信長についての情報を整理して、秩序立てて書く作業(Reproduction)が必要になります。このように、ただの暗記力では通用しないのがオランダの教育の特徴。ちゃんと理解していなくても答えが書けるクイズ形式の日本のテストでは、○か×かの白黒はっきりした評価しかできません。でも、オランダのような形式のテストでは、たくさん知っている人はたくさん書けるし、あまり知らない人は少ししか書けません。解答欄に書かれた情報の質と量で、理解度がグラデーション方式に評価できます。素晴らしく織田信長の情報を網羅しており、洗練された文章で筆遣いも流麗に解答が仕上げてあれば、先生も10点満点をあげざるを得ない事でしょう。あとは、『この程度の量の情報だったら10点満点中8点あげたいところだけど、一つちょっと間違って徳川家康のことが書かれているからやっぱり7点かな~』、とか、『「サムライ」としか書かれていないなんて、1点だ!』、などというかたちで理解度を評価できるわけですね。

日本式テストは、暗記力のよいだけ人が圧倒的に有利な評価方法だと思います。しかも、テストに正解した生徒たちの中で、桶狭間が一体どこらへんにあるのか、対戦相手の武将は誰だったのか、なぜこの合戦が歴史上重要なのか、など、この歴史的大合戦に関する情報を広く持っている人がどれだけいるでしょうか?でも、テストではそんな情報を問われないから、誰も勉強しなくなってしまうのです。ひきかえ、オランダ方式だと、暗記だけではなく、理解度、文章作成の能力、表現力、さまざまな能力が発揮できて、それらを総合して評価がなされるわけです。桶狭間の戦い一つをとってみても、誰と誰がどういう歴史背景で戦ったのか、がよくわかっていれば、その武将達の領地の接点から言って、どのあたりで合戦が行われたかも自然にわかるようになります。もちろん、‘覚える’という作業はどの学問でもある程度必要とされることはあるにせよ、それ以外にも「自分で考える、それを自分なりに表現する」ことが重視されているということはよくお分かりいただけることと思います。

かくいう私も、他に何のとりえもありませんが、子供の頃から記憶力だけは抜群によかったタイプです。そのため、日本の学校の勉強で困ったことはまったくありませんでした。しかし、オランダの大学に入ってみたら、どうでしょう!!論理的思考はできないわ、表現力はないわ、オランダ語での文章作成にいたってはもう救いようがなく、かろうじて、日本で培った忍耐力だけでどうにか学生生活が送れているようなものです(涙)。
では、我が子達が決して同じ轍を踏まないようにするには、一体何をしたらいいのでしょう。それには、表現力と論理的思考を伸ばしてあげることが一番だと思います。
では、論理的思考とは一体何か?!えー、これを書き始めると非常に長くなりますので、今回ははしょります(笑)!また今次回、その部分だけを取り上げて記事を書いてみようと思いますので、お楽しみに♪

と言ったわけで、私がワンダーキッズの授業をする際には、論理的思考を促すような質問の仕方、そして、論理的思考の発達を妨げないような受け答えの仕方を心がけています。論理的思考能力が欠けているがためにオランダの大学で非常に苦戦を強いられている私ならではの「こだわり」。ワンダーキッズに来てくれているみんなが、どんな道に歩むにせよ、自分なりの論理を展開する力を持って、自分流の表現方法で世界に発信し、いろいろな分野で将来花開いてくれることを願って・・・。